【動画】大雨で川から水があふれた石川県輪島市内=2024年9月21日午前10時半過ぎ、読者提供

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床上浸水した家。川から離れた位置にあるが、道路に土砂がたまり、雨水が流れ込んだ=2024年9月21日午後1時20分、石川県輪島市杉平町、上田真由美撮影
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 石川県・能登半島地震の被災地が21日、猛烈な雨に見舞われた。珠洲市で1人が亡くなり、同市と輪島市、能登町でも行方不明者が相次いだ。大雨特別警報が発令された輪島、珠洲両市の雨量は観測史上最大を記録し、各地で道路が土砂崩れで寸断された。

 県が開いた災害対策本部会議によると、床上、床下の浸水は多数。21日午後4時現在で少なくとも珠洲市4地区、能登町2地区が孤立し、4市3町が計94カ所の避難所を開設し、計1358人が身を寄せている。午後5時現在で珠洲市約1100戸、輪島市約4300戸、能登町約840戸の計約6200戸が停電し、輪島市では多くの地区で断水が続いている。

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 輪島市宅田町の仮設住宅は玄関ドアの半分近くまで浸水した。警察官や消防隊員とみられる人たちが近づき、住民の逃げ遅れがないかを確認していた。

 珠洲市飯田町の町内会連合会長の泉谷信七さん(74)はこの日午前、近くの若山川があふれそうな水位になっているのを目撃した。市役所前の道路は浸水し、川のようだった。昼すぎになって水が少し引き、道路の表面がかすかに見えてきた。「このまま収まればいいが、まだ雨が降りそうなので心配だ」

 能登町柳田では近くを流れる町野川が氾濫(はんらん)。そばの仮設住宅の周囲には泥が広がっていた。団体職員の深見ゆりえさん(38)は午前10時半ごろ車を仮設から小学校に移動させ、高台にある家族宅に身を寄せた。美容室を営む北方里美さん(73)は「橋に木がひっかかり、水をせき止めて、店の前の通りまで水があふれてきた」と話しながら、店の玄関の泥をホースの水で洗い流していた。

 輪島市白米(しろよね)町の観光名所も大きな被害を受けた。1004枚の棚田が広がる千枚田は裏山の一部が崩れ、水路があふれ、田んぼは水びたしに。元日の地震で傷つき、5月に田植えができたのは修復を終えた約120枚だけで、今月初めに稲刈りを終えたばかりだ。地滑りもあり、何枚もの田んぼが崩れた場所も。地元住民らでつくる白米千枚田愛耕会が管理しているが、白尾友一(ともかず)代表(60)は「いくら何でもこれはひどい。あぜんとするだけだ」と話した。

 金沢地方気象台によると、能登半島では22日まで警報級の大雨が降る恐れがある。担当者は「最大級の警戒を続けてほしい」と話している。

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 石川県輪島市宅田町の仮設住宅では21日、住民が腰まで水につかりながら避難しようとしていた。

 21日午前11時ごろ、現場を訪ねた輪島市の料理人・池端隼也さん(44)によると、仮設住宅は浸水しており、住民が腰まで水につかった状態で避難しようとしていた。雨は激しく降り続けていて、わずか数分のうちに水位が高まり、「恐怖を感じた」という。

 仮設住宅の車は水につかっていたが、その水位も一気に上昇し、車が半分以上、水につかる状況となった。

 「ここまで激しい雨はこれまで経験が無い。元日の能登半島地震で市内は地面が低くなっている場所も多く、不安が大きい」と池端さんは話した。

 同日正午に記者(上田)が同町の仮設住宅を訪ねた際には、茶色い水が周辺にたまっていた。水位は住宅の玄関ドアの半分近くまで達していた。ドアが開いていたままの部屋もあり、室内に泥水が入り込んだのか、洗濯物に泥がついている様子が見えた。

 浸水した住宅には、警察官や消防隊員とみられる人たちが近づき、逃げ遅れた人がいないか確認していた。

 敷地内では複数の車が屋根まで水につかっていた。直前まで住民が乗っていたのか、ワイパーが動いたままだったり、ライトがついたままだったりする車もあった。(赤田康和、上田真由美)

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